
↑ 吸水するキタキチョウ

↑ 羽を広げた黄蝶

↑ キチョウ幼虫
──エッセイ──
春から初夏の蝶たち・・・・・・・・・・・・木村草弥
田舎暮しの私の身近には、さまざまな「虫」たちが見られる。
冬を越えて春になると可憐な蝶たちが見られる季節になる。
先ず「黄蝶キチョウ」を挙げておこう。
林縁や草原で普通に見られる黄色いチョウ。翅の表面の縁には黒色帯がある。
モンシロチョウやモンキチョウよりはひとまわり小さい。
いつもせわしなく飛び、いろいろな花で吸蜜したり、地面で吸水する。
成虫のまま越冬し、早春から飛びはじめるので、3月頃に見かける黄色いチョウはこの種類であることが多い。
幼虫の食草は、ネムノキ、ハギ類など。
今までは大雑把にキチョウと呼ばれてきたが、最近では本州に居るものは「キタキチョウ」と呼ばれるようになった。
この蝶については
春潮のあらぶるきけば丘こゆる蝶のつばさもまだつよからず ・・・・・・・・・・坪野哲久
の歌を挙げて記事を載せたことがある。

↑ モンシロチョウ

↑ モンシロチョウ展翅
モンシロチョウの前翅の長さは3cmほど。翅は白いが、前翅と後翅の前縁が灰黒色で、さらに前翅の中央には灰黒色の斑点が2つある。
和名はこの斑点を紋に見立てたもの。また、春に発生する成虫は夏に発生する成虫よりも白っぽい。
オスとメスを比較すると、オスは前翅の黒い部分が小さく、全体的に黄色っぽい。メスは前翅の黒い部分が多く、前翅のつけ根が灰色をしている。
なお、翅に紫外線を当てるとメスの翅が白く、オスの翅が黒く見えるため、オスメスの区別がよりはっきりする。
紫外線は人間には見えないが、モンシロチョウには見えると考えられていて、モンシロチョウはこの色の違いでオスメスの判別をしているとみられる。
全世界の温帯、亜寒帯に広く分布する。
広い分布域の中でいくつかの亜種に分かれており、そのうち日本に分布するのは亜種 P. r. crucivora とされている。
幼虫の食草はキャベツ、アブラナ、ブロッコリーなどのアブラナ科植物なので、害虫であるともされ、モンシロチョウはそれらの農作物の栽培に伴って分布を広げてきた。
日本のモンシロチョウは奈良時代に大根の栽培と共に移入されたと考えられている。
成虫は3月頃から10月頃まで長い期間にわたって見られ、年に4-5回ほど発生するが、発生する時期や回数は地域によって異なる。
北海道の一部のように寒冷な地域では年に2回ほどしか発生しないが、温暖な地域では年に7回発生することもある。蛹で越冬する。
ふ化した時は自分の卵の殻を、脱皮した時はその皮を食べる。
このように春早くに見られる蝶はキチョウとかモンシロチョウであるが、キチョウは成虫で越冬するのに対して、モンシロチョウは蛹で越冬して脱皮して蝶になるところが違う。
モンシロチョウは小さくて可愛いが、キャベツなどの野菜を食べる害虫として農民には嫌われているのである。
他にアゲハチョウ類の蝶が居るが、それらについては夏の頃に載せてみよう。
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