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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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晴朗の乳と蜜の夢セーヌ川の汀をあゆむをとめに逢ひぬ・・・川口美根子
unnamedマイヨール「イル・ド・フランス」
↑ マイヨール作 イル=ド=フランス像

川口_NEW

──エッセイ──再掲載・初出2018/07/03

     晴朗の乳と蜜の夢セーヌ川の
         汀(みぎは)をあゆむをとめに逢ひぬ・・・・・・・・・・・・・・川口美根子

                         ──イル=ド=フランス──
                 ・・・・・風心社2002/10/20刊・・・・・・・・・

  この歌は国立西洋美術館の展示作品に歌人たちが歌を付ける、とい
  う企画展に際し、川口先生が出詠された歌で、パンフレットのイント
  ロの部分を飾った記念碑的な歌である。
   「イル=ド=フランス」とは、ほぼセーヌ、オワーズ、マルヌ川に
  よって囲まれる地域で、パリを首都とする古代フランスの州名だ。
   1925年のサロン・ドートンヌ出品作がこれである。他の像の「地中海」
  という命名と同様に像の背後に豊かな自然と香り高い文化の地
  域を思わせる題名である。マイヨール作のこの像はほぼ等身大、静け
  さの中にも動きを伴い、若い女性の豊かな量感の優美で安定した裸婦
  像である。植物が自然に成長するように彫刻を作るのがマイヨールの
  信条というが、豊かなマッスと明快なフォルムをもつマイヨールの彫
  刻の雰囲気を過不足なく捉えた名歌である。
   今この像はパリのオルセー美術館で観ることが出来る。
   私も曾遊の場所である。
                        木村草弥 城陽

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マイヨールにとって、自然はあらゆる行動と思索の源であった。自然こそ彼の唯一の信仰の対象であった。
そして女性の肉体は、大自然の秩序と調和、平和と美を集約する小宇宙であった。
《地中海》、《山》、《河》、《春》、《夏》、《夜》、《大気》、彼の数多くの女性像は自然のさまざまな現象を示す名称を与えられている。イル=ド=フランスは、セーヌ、マルヌ、オワーズの三河に囲まれたパリを中心とする肥沃の大地である。
マイヨールは生地バニュルスにおとらずイル=ド=フランスの豊かな自然を愛し、生涯の殆どをこの二つの地方で過ごしている。
1910年、彼は「水の中を歩く少女」のモティーフを構想し、1921年までに3体のトルソの習作を制作した。
このトルソから《イル=ド=フランス》が生まれた。
胸をはり、左脚を軽く後ろに引いて右脚でまっすぐに立つ若さあふれるこの女性像は、もはや歩いているのではなく、大地から生まれて来たばかりの姿で静かに立っている。
左足から腹部そして胸から肩へと続く張り切った弧状のムーヴマンに、垂直な右脚と背後に自然に伸ばして布を持つ両腕、
そして軽く左を向いて直立する頭部の静けさが呼応し、穏やかな律動感を生んでいる。
人体各部のフォルムを、相互の対立と調和の関係のうちに綜合し、一つの秩序ある構造体に組み上げていくマイヨールの手法は、彫塑的というよりむしろ建築的である。

これ以上の解説は不要だろう。
この一個の彫刻から、掲出したような「歌」を創作した川口さんの豊かな想像力を思うのである。 お見事 !



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