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草弥の詩作品<草の領域>
poetic, or not poetic,
that is the question. me free !
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聖玻璃 木村草弥
・・・・・・・角川書店「短歌」誌2020/12月号掲載・・・・・・
葡萄摘むアダムの裔(すゑ)の青くさき腋窩あらはに濃むらさきなす
聖玻璃の御堂の藍に身をおけば地中海恋ふる瞼(まなぶた)も青
地中海あまりに青し薔薇までの距離とわが死の距離を想ふも
誰がための葬(はふ)りの鐘か薔薇窓の不死鳥(フェニーチェ)の彫り翳る聖堂
腋萌えてなほ少年期を出でざれば百合は朝けをまだ封印す
かの魂の空洞(カベルネ)を埋めよ濃あぢさゐ彩(いろ)七色に身を染めて 夏
古典辞典(レキシコン)みてゐる室に雷ひびき刺青図譜の革表紙光(て)る
展翅さるる緋蝶の羽根に血の蔓が青く流るるまぼろしを見つ
マルキ・ド・サド像の鼻梁をよぎる罅(ひび)みつつしをれば春雪しきる
サドの忌の美術館(ミユゼ)に観るなる少年の緑衣に並ぶ金釦の列
爪彩るをみながレモン垂らしつつエウロパの宴短か夜なりし
コロナ禍の襲来いかに凌(しの)ぎしやエウロパの佳人いまだ文(ふみ)来ず
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かねて角川書店「短歌」編集部から投稿依頼のあった私の作品12首が掲載された雑誌が本日発売となり公開されたので披露しておく。
前回「cogito,ergo sum」が掲載されたのが2019/6月号だったから丁度一年半ぶりである。
この12首欄は巻頭作家の欄に次ぐもので、本来、結社の主宰クラスが招待されるところであり、一匹狼の私にとっては破格の待遇である。
名誉なことなので有難くお受けして、今回の掲載となった。これには安いが原稿料がいただける。有難いことである。
この作品の中で書いてある「サド」の忌日は十二月二日である。念のために書き添えておく。
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