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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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その意思に収監されたまま/私は、そのとき/ぼんやりと/冬の陽を浴びていた・・・吉野 弘
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──吉野弘の詩──(2)

     陽を浴びて・・・・・・・・・・・・吉野 弘

   冬の朝
   通勤時間をすぎた郊外電車の駅
   人影まばらな長いホームの
   屋根のないところで
   やわらかな陽を浴び
   私は電車を待っていた

   ひととき
   食と性とにかかわりのない時間
   消費も生産もせず
   何ものかから軽く突き放されていた時間

   何ものか
   私を遥かな過去から今に送り出したきたもの
   無機質から生命への長い道程(みちのり)
   生命の持続のための執拗な営み
   信じがたいほど緻密で
   ひたむきでひたすらであった筈の意思

   その意思に収監されたまま
   私は、そのとき
   ひたむきでもなく
   ひたすらでもなく
   食と性との軛(くびき)を思い
   ぼんやりと
   冬の陽を浴びていた
   逸脱など許す筈のない意思が
   見て見ぬふりをしているらしい、ほんのひととき
   あり余るやわらかな光を
   私は私自身に、存分に振舞っていた
   ホームで
   電車を待ちながら

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この詩のキーワードは「食と性」である。こういう言葉の選択の的確さが何とも言えず見事だ。
また「ひたむきでもなく、ひたすらでもなく」という、二字だけ変えたリフレインが利いている。
1983年花神社刊行の詩集『陽を浴びて』より。私の亡親友・宮田操の好きな詩人である。


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