
ゆるやかに着てひとと逢ふ蛍の夜・・・・・・・・・・・・・・・桂信子
写真は白花ホタルブクロに止まるゲンジボタルである。
日本には十種類ほどが居るというが、一般的にはゲンジボタルとヘイケボタルである。
ゲンジの方が大きく、光も強い。
水のきれいなところに棲み、6月中旬ころから出はじめる。ヘイケは汚水にも居るといわれるが確認はしていない。
幼虫は水中に棲み、カワニナなどの巻貝を食べて成長する。
成虫の発光器は尾端腹面にあり、雄は二節、雌は一節だという。
この頃では農薬などの影響で蛍はものすごく減った。今では特定の保護されたところにしか居ない。

昔は画像②の絵のように菜種殻で作った箒で田んぼの中の小川に蛍狩りに出たものである。すっかり郷愁の風景になってしまった。
古来、多くの句が作られて来た。
草の葉を落つるより飛ぶ蛍かな・・・・・・・・松尾芭蕉
手の上に悲しく消ゆる蛍かな・・・・・・・・向井去来
大蛍ゆらりゆらりと通りけり・・・・・・・・小林一茶
などが知られている。 以下、明治以後の句を引いて終わりたい。

蛍火の鞠の如しやはね上り・・・・・・・・高浜虚子
瀬がしらに触れむとしたる蛍かな・・・・・・・・・日野草城
人殺す我かも知らず飛ぶ蛍・・・・・・・・・前田普羅
蛍火の流れ落ちゆく荒瀬見ゆ・・・・・・・・山口誓子
蛍火やこぽりと音す水の渦・・・・・・・・山口青邨
蛍籠昏ければ揺り炎えたたす・・・・・・・・橋本多佳子
初蛍かなしきまでに光るなり・・・・・・・・中川宋淵
死んだ子の年をかぞふる蛍かな・・・・・・・・渋沢秀雄
蛍くさき人の手をかぐ夕明り・・・・・・・・・室生犀星
蛍火や女の道をふみはづし・・・・・・・・鈴木真砂女
ひととゐてほたるの闇のふかさ言ふ・・・・・・・・八幡城太郎
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余談だが、掲出した写真①の白花ホタルブクロが今ちょうど咲いていて、その鉢を先日から玄関に飾ってある。
なよなよした草で紐で周囲を囲ってある。
茎立ち5本で十数輪咲いているが、しばらくは蕾が次々に咲くが花期は20日ほどしかもたない。
後の一年は、もっぱら根を管理するだけである。
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