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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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村上春樹『めくらやなぎと眠る女』24の短篇集・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
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──新・読書ノート──

  村上春樹『めくらやなぎと眠る女』24の短篇集・・・・・・・・・・・・・木村草弥
                      ・・・・・・・・・・・・・・・新潮社2009/11/25刊・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

昨年の冬のはじめに何冊かの本を、まとめて買った。
そして日々の雑事の合い間にぼつぼつと読んだ。読了したものもあるし、読み差しのものもある。
今日は、その中の一冊である、この本のことを書いてみる。
村上春樹の本は、割合に読んでいる方だろう。ただし、熱心な読者とは言えない。
この頃では彼は社会的な事象についても関心を見せる小説を書くが、以前は極めてキッチュな身の回りのことを書く作家だった。少なくとも「社会派」ではなかった。
それが変りはじめたのが『ねじまき鳥クロニクル』からであろうか。この小説では、「ノモンハン事件」に係わる主人公を登場させた。
村上春樹は元々は短篇作家であった。今では長篇と短篇とを交互に書いているようである。

この本『めくらやなぎと眠る女』は、元々は英語で書かれ、アメリカはニューヨークで上梓されたものであり、それを日本語に翻訳したものが、これである。
原題は「BLIND WILLOW, SLEEPING WOMAN」である。
村上春樹の小説は、日本語で書かれたものでも、文体に難解なところは何もないし、叙法にも特殊なものは何もないが、今回のものは、特に引っ掛かるものは何もない。
彼の小説は翻訳されているものも多く、世界中の人に多く読まれているので、次回のノーベル文学賞候補などと言われるのも理解できる。
この本には24の短篇が収録されていて、厚さも3センチもある大部のものである。三方の切り落とし面には、薄いピンクの色が塗られていて、アメリカのハードカバーという本は、こういう作りになっているのだなあ、と思う。
この本のはじめに(日本版の読者に)という部分があって、そこに、「イントロダクション」として、こう書かれている。

<できるだけ簡単に定義してしまうなら、長篇小説を書くことは「挑戦」であり、短篇小説を書くことは「喜び」である。長篇小説が植林であるとすれば、短篇小説は造園である。それら二つの作業は、お互いを補完し合うようなかっこうで、僕にとってのひとつの重要な、総合的な風景を作り上げている。緑なす林が心地よい影を大地に落とし、風に葉をそよがせる。あるいは鮮やかな黄金色に染まる。・・・・・・・
僕が小説家としてデビューしたのは1979年のことだが、それ以来ほぼ一貫して、長篇小説と短篇小説を交互に書き続けてきた。集中して長篇小説を完成させてしまうと、短篇小説がまとめて書きたくなり、短篇小説をワンセット書いてしまうと、今度は集中して長篇小説が書きたくなる。・・・・・・
長篇小説と短篇小説を同じ時期に書くということはない。・・・・・・たぶんそれぞれの作業に使用する頭の部位がはっきりと異なっていて、そのレールを切り替えるのに時間がかかるのだろう。・・・・・・
短篇小説を書くにあたっての喜びのひとつは、その作業が比較的短い期間で終了してしまうことだ。通常の長さの短篇小説の場合、だいたい一週間あれば、ひとつの作品のかたちとして完成させることができる。長篇小説の場合のように、ひとつの世界に一年も二年ものめり込んで、身も心もそこに深くコミットするようなことはない。入り口から部屋に入り、仕事を仕上げ、出口から出て行く。それでおしまい。長篇小説ばかり延々と書き続けていたら、身が持たないだろうという気が──あくまでも僕の場合はということだが──する。短篇小説を書く時期を持つことは、僕にとっての大事なチェンジ・オブ・ペースなのだ。
それから短篇小説の場合、どんな些細なことからでも、ひとつの物語を作り上げてしまえる。ふと頭に浮かんだひとつのアイデア、ひとつの言葉、ひとつのイメージから、物語が立ち上がっていく。その多くはジャズの即興演奏のように、自由自在に発展していく。短篇小説を書くとき、失敗を恐れる必要がない。・・・・・・・>

個々の作品に触れることはしない。
題名だけ紹介しておこう。
「めくらやなぎと眠る女」「バースデイ・ガール」「ニューヨーク炭鉱の悲劇」「飛行機──あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」「鏡」「我らの時代のフォークロア──高度資本主義前史」「ハンティング・ナイフ」「カンガルー日和」「かいつぶり」「人食い猫」「貧乏な叔母さんの話」「嘔吐1979」「七番目の男」「スパゲティーの年に」「トニー滝谷」「とんがり焼の盛衰」「氷男」「蟹」「蛍」「偶然の旅人」「ハナレイ・ベイ」「どこであれそれが見つかりそうな場所で」「日々移動する腎臓のかたちをした石」「品川猿」

この本については斎藤英治の書評があるので、このリンク先から参照されたい。

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村上春樹についてはWikipediaに詳しいので参照されたい。
私には「へそ曲がり」のような変な性癖があり、『1Q84』のような世の中を騒がすようなベストセラーは意識して読まないところがあり、今だに読んでいない。
これが「熱心な読者ではない」という所以である。


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