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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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桐野夏生『ナニカアル』・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
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──新・読書ノート──

   桐野夏生『ナニカアル』・・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
            ・・・・・・・・・・・・・新潮社2010/02/25刊・・・・・・・・・・・・・・・・

この本は出たばかりである。
この本の「帯」に、こう書かれている。

 <女は本当に罪深い。
   戦争に翻弄された作家・林芙美子の秘められた愛を、
   桐野夏生が渾身の筆で炙り出し、描き尽くした衝撃の長篇小説。>

「帯」裏には

  <年下の男は、可愛い。
    早く早く、早く結ばれないと、思い出せない。
    早く愛し合わないと,忘れてしまう。>

  <昭和17年、南方へ命懸けの渡航、束の間の逢瀬、張りつく嫌疑、そして修羅の夜。
   波爛の運命に逆らい、書くことに、愛することに必死で生きた一人の女を描き出す感動巨編の誕生。>

もちろん、これらは出版社の付けたキャッチコピーであるが、この一冊の本の核心を捉えている。

この本については新潮社「波」三月号に関川夏央×桐野夏生の対談として載るほか、新潮社のHPにも収録されているので、リンク先から読んでみてほしい。

この小説は「週刊新潮」2008/12/11号から2009/11/12号まで連載されたものに、単行本化するに際して加筆修正されたものである。
私も林芙美子の私生活については詳しくは知らなかったので、面白く一気に読み切った。
どこまでが資料的に事実なのか、どこからがフィクションなのか私には判らないが、ぜひ一読されることを、お勧めする。

私の個人的なことを書くのを、お許しいただきたい。
私は「読書的」には早熟で、というのは亡長兄・木村庄助の小説などの文学書がたくさんあったので、思春期から、そういうものに耽溺してきた。
戦後になって文芸雑誌──例えば「群像」「人間」「新潮」というような雑誌を中学生の頃から読んでいた。
だから林芙美子の同年輩たちの平林たい子や佐多稲子なども当時の新作で読んでいた。
この小説にも出てくるが、大正、昭和初期は政治的、文壇的には「アナーキスト」全盛であって、後の「ボルシェビキ」=共産党はむしろ少数派だったのである。
平林たい子の小説なんかにも、それらが描かれている。「アナ」「ボル」と略して言われたという。当時読んだ平林たい子の小説の記憶では、「君はボルな」なんていう記述があった。
佐多稲子の『キャラメル工場から』が書かれたのは、林芙美子の『放浪記』と同じ時期だというが、労働組合にきちんと組織された運動というのでもない。佐多稲子の夫である窪川鶴次郎の女癖の悪さなんかも、この小説に書かれている。とにかく林芙美子も含めて彼ら、彼女らは奔放というか、だらしない、というか、そんな生活をしていたらしい。
戦後、窪川鶴次郎なんかもプロレタリア文芸評論家として脚光を浴びることになるが、昔日のことを知っているものには違和感があった。
誰かの小説にあったが、「俺に淋病を罹(うつ)した芙美子」というような文章のくだりがあったりした。
私の同級生で頭のいい女の子がいたが、その人が「私は林芙美子のようになりたい」というのを聞いたとき、私は芙美子の行状を知っていたから、なんて何も知らない純情なんだろう、とせせら笑った記憶がある。
その女の人は同じ大学の先輩と結婚し、二人とも母校のフランス語、フランス文学の教授を務められた。
つまらない追憶である。忘れられよ。

コメント
コメント
いい本を紹介して頂いた。林芙美子のことを書いているとは知りませんでした。明日はぜひ注文しよう。関川さんと桐野さんとの対話も面白かった。また、いろいろご紹介ください。大兄の新しい作品はいつ発表されるのですか。楽しみにしています。
2010/03/09(火) 23:43:08 | URL | 沢良木和生 #N.vW.TCs [ 編集 ]
お読みくださり有難うございます
■沢良木和生さま。
お早うございます。
お読みくださり有難うございます。
私の「詩」作品は「楽市」の次号(4月はじめ)に載ります。
出ましたらお届けします。
では、また。
2010/03/10(水) 07:29:44 | URL | sohya #- [ 編集 ]
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