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K-SOHYA POEM BLOG
私のBLOGは詩歌句の「短詩形」文芸に特化して編集している。 今はもう無くなったが、朝日新聞の大岡信「折々のうた」などの体裁を参考にして少し長めの記事を書いている。自作も多めに採り上げている。
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小山登美夫 『見た、訊いた、買った古美術』・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
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──新・読書ノート──

   小山登美夫 『見た、訊いた、買った古美術』・・・・・・・・・・・・・・・・・木村草弥
                  ・・・・・・・・・・・・新潮社2010/06/25刊・・・・・・・・・・・・・・・


    奈良美智、村上隆を見出した現代アートの目利きが買ったモノとは? 
    古陶磁、浮世絵、仏教美術、琉球紅型などの古美術からルーシー・リー、熊谷守一、
    小村雪岱など物故作家の名品まで、店主たちに根掘り葉掘り質問しながら買った13点。
    美しい写真を楽しみながら、値段の訊き方から家での飾り方まで学べる、実践的な入門書。

美術、絵画などを見るのは大好きで、海外に行って自由時間があれば、先ず美術館などに向かう私である。
しかし、お金の無いこともあって「買う」ことは滅多に、ない。
せめて目の保養をさせてもらおうと、はじめて会う人だが、この本を読んでみた。
新潮社の読書誌「波」2010年7月号より書評を貼り付けておく。
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     マッサージのノリで古美術を          佐藤和歌子

 上野の不忍池で蚤の市をやっているのを見かけると、つい足を止めてしまう。目が行くのは古い着物の端切とかお猪口や灰皿、和綴じの古本や褪色した絵はがきとか。何を探しているわけでもなく、律儀に全部見て回るなんてこともしない、何も買わずに立ち去ることがほとんどなんだけど、富岡八幡宮でたまたま蚤の市をやっていると、「おっ」なんつってまたぶらぶら。目立たないようにぐい呑みの底を返して見てみたり、これは灰皿に見えるけど灰皿でいいのだろうかと怪しんでみたり、内心手頃な蕎麦猪口があったら欲しいな、くらいには思っていたりするけれど。価値があるとかないとか、自分がそれを好きかどうかもよくわからない、わからないくせに買って悦に入るのは、どうも一種のナルシシズムみたいで気持ち悪い。だから買わない。向うからしてみれば私なんて「客」でも何でもないんだろうな。骨董屋とか行ったことないし、人に見せられるような絵や器を集めているわけでもない。そうです、わたしは「ひやかし」です、すみません、ではさようなら……そういう人のための本です。
「これ、いくらですか」
「いつの時代のものですか」
「一番高いのはどれですか」
「これは何ですか」
 そうそう、訊いてみたかったんだよ、本当は。現代美術の目利きが、『芸術新潮』誌上で十二軒の古美術商を訪ね歩き、十万円以下のものから八十万円まで計十三点を自腹でお買い上げ。素人感丸出しの質問が心強い。
「中国のやきものの場合、だいたい唐以前のものは埋まっていたと考えていいと思います。(中略)紀元前2000年のカップだったら今から4000年前でしょ、そのほとんどの間は土の中で、誰の目にも触れなかったというのが面白い」
「お経を見るときは、まず自分がその字を好きかどうか。いい悪いじゃなくてね。(中略)無理にこれはいいものなんだと見る必要はないんです」
「この部屋はいつも熊谷守一だけを飾っているんです。なぜかというと、朝、戸をあけて電気をつけたときに、なんか気分がいいんです(笑)」
 その道の玄人たちの答えも、易しいし優しい。「へー」の連続で、ありがとうございます、と頭を下げたくなる。
 著者の小山登美夫さん、メディア上のプロフィールは「奈良美智、村上隆を世に出した仕掛け人」で、ご本人曰く「山あり谷ありのアートビジネスをしています」。二〇〇〇年前後に大学生生活を送った私からすると、奈良美智さんや村上隆さんの登場は衝撃的だったわけで、作品、作家の力もさることながら、「仕掛け」の方も相当クレバーであったことが拝察されます。クレバーってつまり、狙いがあること、狙いに向けて的確に動けること、実際に動くこと。
 この本の狙いは、美術各ジャンル間の風通しをよくすることと、美術全般におけるマーケットの拡大と活性化です、多分。タイトルには「古美術」とあるけど実は「古」いかどうかは問題じゃなく、小山さんが「素人」になれる分野だったら何でもあり。ルーシー・リーもあれば熊谷守一もある。浮世絵の専門家にとってはアフリカのお面は専門外だろうし、その逆も然り。みんな何かの素人なんだから、わからなくて当たり前。資格が要るとしたら、美術が好きかどうか。
 だったら美術って何なの? おそらくは眼福。お茶を飲んだり煙草を吸ったり、寝る前に音楽をかけたり、顔面マッサージをしてもらったり。体の感覚に気持ちのよい刺激っていろいろあって、眼にもそれを与えることはできる。私がなんで用もなく蚤の市をうろついたか、眼が、ささやかな快楽を求めていたのかもしれない、と今になって考える。肩凝りに気がついてマッサージ屋を探すのと同じノリで、巻末のお店紹介のページに付箋を貼っている自分がいる。行ったことないけどさ、「小山さんの本を見て、来ました」って言えば大丈夫そう。やっぱりこれって、「見た、訊いた、買った」じゃなくて、「見ろ、訊け、買え」ってことですよね?   (さとう・わかこ フリーライター)
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小山登美夫とは、いかなる人物なのか。← ここにリンクしたところに詳しい。 京都にもギャラリーがあるらしい。


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