ぶどう棚を渡る風に/実りを終えて/安堵の心をみせての/静かな落下・・・・・・・・・・・・・高田敏子
──高田敏子の詩──(16)再掲載・初出2005/10/23
ぶどう棚の下・・・・・・・・・・高田敏子 ぶどう棚を渡る風に
葉は枝を離れて落ちる
実りを終えて
安堵の心をみせての
静かな落下
葉は落ちて
地から見上げているよう
光のよさを
光を受けて紫の色増す
実りのよさを
ぶどう棚の下に座って
落ち葉の一枚を
ひざにのせている私
風は少し冷たくても
秋の深まりを素直に受けて
落葉からまなぶ
心の静けさ
(詩集『こぶしの花』1981年花神社刊より)